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医療法人善慈会 大分丘の上病院 帆秋理事長インタビュー

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 「心の病」に悩む患者さんを、年間平均500~600人ほど診ておられる大分市の『大分丘の上病院』(帆秋 善生院長・理事長)。 入院患者の大半を、平均3ヵ月ほどで退院に導くため、同病院の医療現場はまさに、多忙を極める状態だったそうです。
 さらに同院の場合、患者さんの社会復帰を支援する『地域生活サポートステーション』も運営しておられるため、全スタッフが医療情報を共有し、煩雑な業務を効率化するための取り組みが急務でした。
活用現場を見せることで反対していたスタッフも納得
―電子カルテシステムに着目されたきっかけは何でしょう

帆秋 当院の場合、児童思春期精神医療をメインに掲げていたこともあって、開業当時から長期入院される患者さんの方が少数でした。  本稼働を始めた初年度から、年間平均の初診患者数が500~600人で、うち入院が400~500人、平均在院日数が110日程度。入院期間が長い患者さんの場合でも140日未満でしたから、現場は常に『いつも入院患者が多い、外来患者も多い』という多忙な状況です。そうした現場の忙しさを改善するために、電子カルテ導入を検討し始めました。

―「Alpha」導入の直接的な要因は

帆秋 「Alpha」という電子カルテシステムの存在は、以前から知っていました。いずれ当院でも導入したい…とは思っていたのですが、私の一存でシステムを入れても、たぶん職員がついてこないでしょうから、時期を待っていたんですね。  ちょうどその頃、「病院機能評価」の認定取得が当院全体の課題として浮上してきたので、そのためには電子カルテが必要だということを、折に触れて口にするようにしました。実際、電子カルテを活用すれば、院内での情報共有が図れて、仕事のスピードアップも図れるのは明らかでしたから、そのことが、医療の質的向上に結びつくはずと予想していました。 もちろん、病院機能評価の取得も、病院のレベルアップにつながります。だったら、その両方を上手に取り入れたいと考え始めたのが、システム導入の直接要因と言えるでしょう。

―「電子カルテ」と「病院機能評価」という2つの課題に、同時に取り組み始めたわけですか

帆秋 その通りです。2つ同時にというのは、やはり大変なことだし、院内に“抵抗勢力”的な職員も発生しました。 それらのスタッフと何度も話し合いを行い、病院機能評価は医療業界全体の流れになっているので、こちらはやらなきゃいけないだろう、しかし電子カルテに関しては、入れてない病院の方が多いのだから、今すぐやらなくても良いのではないか…という意見が主流になってきたんですね。 しかし私としては、両方同時にやらないと、好機を逃すんじゃないかという思いがあった。そこで、実際に電子カルテを活用している現場を職員に見せて、それが良いもの、必要なものだと理解させるための作戦を、電子カルテの制作会社さんと一緒に練ったわけです。 院内の主要スタッフ20人ほどをマイクロバスに乗せて、久留米の堀川病院さんを見学させていただきました。連れて行ったそれぞれのスタッフと、同職種の方が電子カルテを使いこなしている様子を見せたのです。その結果、帰りのバスの中では、「うちでは、いつ導入するんですか?」という話で持ちきりになりました(笑)。 たぶんあの時、管理職2~3人だけで行っても反対意見は消えなかっただろうと思います。現場のスタッフに見せて、『堀川病院の人たちが使いこなせているのに、自分が使えないはずはない』という気持ちにさせたのが、良かったのでしょう。
まず、「段取り」を決めてから無理なくスムーズにシステム導入
―導入にあたり、どのような準備作業を行われましたか

帆秋 職員数名で「業務改善委員会」を発足させ、まず、電子カルテ導入のためのタイムスケジュールを作成しました。やらなければならないことは沢山ありますから、「何をいつまでにやる」というスケジュールをしっかり立てなければ、ついズルズルと長引いてしまいますからね。 データの移行、レセプトの連携、うちの病院の業務に合わせたフォーマットの作成など、およそ8ヵ月をかけて準備を完了しました。PCを使ったことがない、あるいはPCの操作に自信が無いという職員も、全体の11%ほどいたので、準備作業と並行して全体の勉強会も実施。中には、自発的にパソコン教室に行ったりした職員もいましたよ。 電子カルテ導入後に就職した職員たちは、さすがにPCが生活に浸透している時代の若者たちですから、使用法を一通り教えれば問題なく使いこなしているようです。

―電子カルテをフル活用しやすいよう、建物も一部改築するケースもあるようですが

帆秋 いえ、当院の場合は最初から、書類の電子化を見越した建物構造になっていましたから、ハード面での新規投資はLANの配線と、PCの買い増しぐらいですかね。 それにあたっても、どの部署で何台要るかのアンケートを取って、無駄づかいにならないように台数を絞りましたから、ハード面の設備投資は苦痛にはなりませんでした。

―貴院の場合、病棟以外に支援施設もお持ちですね

帆秋 はい、だからこそ、電子カルテ導入は急務だったのです。 退院した患者さんの社会復帰を支援する上で、入院中にどのような治療を行い、どのような経緯で急性期治療を終了したかという情報は重要です。導入以前は、訪問看護やデイケアを行っている支援センターのスタッフが、カルテの確認や問題が発生した場合の報告のため、わざわざ病棟まで来ていましたからね。 電子カルテを入れてから、そうした手間が省けましたし、何か問題があればメールや報告書で連絡できますから、指示の伝達や報告が簡単にできるようになりました。1日のうちに何度もメールをやり取り出来るようになったことで、業務の拡大も検討できるようになりました。
単に「効率化」だけではない電子カルテ導入の効果
―「Alpha」導入によって、最も変わったと思うポイントは

帆秋 何より、情報が共有できるようになった点です。1人の患者さんのことを、全スタッフが同時に知ることができる。患者さんについての何らかの情報を、あるスタッフが入れ、それを見て医療行為にあたった別のスタッフが、さらに追加情報を入れ、それを全員が見れるわけですから、医療レベルも自ずと向上します。 患者さんをきちんと見ていなかったような職員、書類の手書きを面倒くさがって、端折った内容しか記入していなかったようなスタッフも、キーボードで入力するだけなので、色々な情報を書き込むようになりました。もともと優秀なスタッフの場合は、さらに多くの情報や所見を書き入れています。 それまで努力不足だった職員も、優秀なスタッフが書いている内容を見るうち、『自分のは情報が不足している、記入内容のレベルが低い』ということに気づくのでしょうね、書き込む情報のレベルが総じて上がってきました。

―そういう意味では、「効率化」以上の効果があったわけですね

帆秋 ええ、業務効率化ももちろん実現しましたが、それ以上に看護力や治療力など、病院のレベルを左右する要素の質的向上が、電子カルテ導入の最大の効果だったと考えています。 情報の充実度が高くなれば、色々な発想も生まれるようになります。薬をどうしようか、家族関係の調整をどうしようか、退院後、どういう施設と結びつけていこうか…という発想です。また、自分の病棟以外の患者さんの情報を見れることで、『うちの患者さんにも、こんなふうにしてはどうだろうか』という発想が生まれるようになりました。 処方に関して医師が工夫している内容も判るようになったので、それまで以上に密な情報交換ができるようにもなっています。紙カルテの時代から、私なりに頑張ってきたつもりでしたが、やっぱり色んな事柄に気づいていなかったことを痛感しました。 電子カルテを見ることで、『この患者さんは、この薬にした方が良かったのではないか』などの点に気づくきっかけにもなる。つまり、自分自身の治療を客観的に見れるようになるわけです。もう、紙カルテの時代には戻りたくないと思いますね(笑)。

―今後、「Alpha」に対して期待することは

帆秋 レントゲンやCTなど、画像診断の画面も見れるようにしてもらいたいですね。それも、無線LANで接続できるようにして。 さらに、画面構成や入力方法の簡便化などで、ipadのような携帯端末でも「Alpha」にアクセスできるようにして欲しいものです。外出先でも自院の医療情報を見られるようになれば、本当に便利ですからね。 精神科の場合、長期間の治療が必要な患者さんも多く、その間に複数の精神科病院を回る人も少なくありません。したがって、この患者さんはこれまでに、どこの精神科病院でどのような治療を受け、どんなふうな変化があったかという詳細な情報を、治療にあたる全てのスタッフが共有できた方が良いのです。 福岡~大分という、決して近くはない距離ながら、フットワークが軽く、良くやってくれていると思います。自社のソフトを良くしたい、改善したいという意識が明確なので、バージョンアップのたびに良くなっていく実感があります。 あと10年くらい経つと、もっと素晴らしいソフトができるんじゃないかと思うと、これからも長く付き合っていきたいと思っています。